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おとなたけちゃん

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感想文 家畜人ヤプー 第二巻 沼正三 著

引き続き、第二巻読了しました。 

 

adult-takechan.hatenablog.com

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第一巻で、未来世界イースに到着したクララと麟一郎ですが、第二巻では遂にイース人クララとヤプーのリンになってゆく過程が書かれています。この巻でも、「芸が細かいなぁ」と舌を巻く描写が散りばめられています。

1.英国人ー黒人-日本人のヒエラルキーが出来た理由

第一巻を読んでいて、なぜ世の中に英国人と黒人と日本人しか居ないのか、疑問に思っていましたが、第二巻で謎解きが有りました。第三次世界大戦で、米国、ソ連、欧州、中国が壊滅し、また、その他白人世界も報復の生物兵器で壊滅するというストーリーになっていました。

この本が書かれた1950年代終盤は、米ソが水爆を完成させ、次々と大規模な核実験を行っていた時期です。誰もが偶発的事件により全面的核戦争が勃発して、地球は消滅すると信じていた時代でした。この当時書かれた近未来SF小説は、かなりの割合で、全面的核戦争終結後の死の地球からスタートする話になっていました。

そんな時代背景があったので、米ソが全面核戦争で消滅。ただし、ソ連の報復攻撃は白人のみ死亡するウィルスによる、という設定は無理なく読めるものでした。

ただ、米国が全面核戦争に突入する中、英国は大型宇宙船で逃げ出すことが出来たとか、中国が熱核戦争で壊滅する中、日本が無事だったというのは都合が良い設定に思えますけどね。この時代、米英は核戦略的にも不可分な状態で運営されていましたし、中国で核爆弾が炸裂したら、偏西風で日本にも大量な死の灰が降り注いで、日本人だけが生きているというのはあり得ませんから。

でも、この時代の人は、こんなふうに考えるんだとうなぁとは思いました。サンダーバードも英国人が世界一の科学技術を持っていましたよね。

それでも、中東の人や東南アジアの人はどうなったのかな?という疑問は残りました。

この時代の日本人にとっては、外人といえば米国人ないし欧州人。あとは土人という感覚で居たのだと思います。アジア人って、なぜか当時の日本人の視野には入っていなかったんですよね。

2.キリスト教、特に英国国教会の作法に忠実に基づいた信仰導入

特にSMの世界に精通していない人でも、女性の小水を「聖水」ということは知識としては有ると思います。麟一郎はヤプーであるリンになる過程で、クララの聖水による洗礼を受けるのですが、このくだりが、あまりにもキリスト教、それも、英国王室も信仰している英国国教会の作法に忠実に則っていることに驚かされました。

具体的には、カソリックやプロテスタントでは、神への帰依を表明する儀式は洗礼一回のみですが、国教会のみ、洗礼式と堅信式の2ステップになっています。洗礼を受けるだけでは実はまだ信者としては半人前で、その後、堅信式で主教按手を受けて初めて正式な信者となり、分餐(パンとぶどう酒を頂く事です)を受けることが出来るようになります。

麟一郎がヤプーのリンになる過程でも、クララの聖水を頭から浴びる洗礼の後で、クララの黄金を拝受する堅信式を受けることになっています(第二巻ではまだ堅信式まで話が進んでいません)。拝受するものは実際のキリスト教の儀式からすればメチャクチャでは有りますが、儀式進行の作法は驚くまで正式に則っています。洗礼式で本人の両脇に教父母が臨席するというのも、正式な儀式のコピーです。

ここまで、国教会の作法を間違いなくトレースしているのは、よほどよく調べたか、実は日本聖公会(英国国教会の日本の組織)に属したキリスト教信者なのかとも思ってしまいます。

 3.無理矢理ではなく、心の変化で白人の主人に帰順する変化

リンがクララに帰依してゆく心の変化の描写も、ストーリー作りが流石だと思わせたところです。ヤプーと白人の主人との関係はサディストとマゾヒストとの関係とは違うと力説していますが、サディストとマゾヒストとの関係も、単に虐めること、虐められることに性的興奮を覚えるというものではありません。相手との駆け引きややり取りとの中で、尊敬や帰順の心が芽生え、この人のためなら何をされても構わないという感覚が芽生えてくるのです。白人の主人とヤプーとの関係は更に深く、信仰に根付いたものになっています。ヤプーは遺伝子レベルで白人に対する畏怖心が備わっていおり、これを白人に対する信仰(白神信仰)に昇華させることで自分の死すら白人のためであれば歓びであるというレベルまで引き上げてゆくのです。

これは、敗戦直後の白人に対する強烈なコンプレックスの発現と見ることも出来ると思いますし、戦争中の国粋主義に対するアンチテーゼと見ることも出来ます。

自分の皮膚を白人の衣類に供するために、自分の皮膚の内側(体そのもの)を溶かすため、「万歳」を唱えて王水(硝酸と塩酸の混合物。大抵のものは溶けてしまう)を煽るシーンなどは、終戦直前の玉砕攻撃や集団自決の記憶がまだ生々しい時代の中では、読者に強烈な感覚を呼び起こしたことでしょう。

宗教をパロディ化することは、出版界ではタブーとなることが多く、「聖☆おにいさん」なども同人誌の間は良かったのに、メジャーになると色々大変だったと聞いた事があります。家畜人ヤプーも雑誌連載の間はともかく、単行本出版には幾多のハードルがあったものと想像されます。

第二巻ではキリスト教のパロディで、日本人にとってはマイナーな宗教なのでまだ良いと思いますが、第三巻ではこれが日本神話、天皇家に対するパロディにまで及んできますので、右翼に生命を脅かされたという話もあながち嘘じゃないだろうなと思えてきます。

 

今、第三巻を読んでいますので、読み終わったらまたアップします。

 

 

 

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